さんぷる歯科医院

眼瞼下垂症について

>まぶたを上げる力

私どもの研究によれば、横紋筋である眼瞼挙筋(LPS = Levator Palpebrae Superioris)の延長の膜のようなものが(詳しくは眼瞼挙筋腱膜、ミュラー氏筋、LPSのもう一つのsheath)、ちょうど眼球の上あたりで力の向きを変えまぶたを上げます。また、この3ついずれもまぶたを上げる強度をもっています。(詳しくは涙嚢鼻腔吻合術と眼瞼下垂手術 II 眼瞼下垂症手術 メディカル葵出版 をご覧ください) 

しかし、何らかの理由により、LPSの力がまぶたにうまく伝わらないことがあります。これが眼瞼下垂です。眼瞼下垂の患者さんは、LPSの力がまぶたに充分に伝わっていないため、LPSの力だけではまぶたを上げることができず、場合によってはまゆ毛の筋肉(前頭筋)でまぶたを上げようとしたり、顎を上げて見づらさを補おうとします。

手術方法

LPSの力が、うまくまぶたに伝わるようにする手術です

LPSそのものの働きが弱っている場合はむずかしいですが、LPSに問題がない場合は、まぶたにその力がうまく伝わるようにすれば、眼瞼下垂は治療できます。方法は、眼瞼挙筋腱膜を縫い付ける方法、ミューラー氏筋を強める方法、などがあります。これらの手術は簡単なようで実はまぶたの構造(解剖)が分かっていなければ難しい手術です。また、手術の結果がすぐにわかる手術でもあります。開院以来、一日に一人の患者さんを丁寧に手術しております。もちろん健康保険は適用されます。時間は両眼90分程度で、日帰り治療です。手術:①上まぶたを切開します。②1週間手術創を濡らせません。③首から下はお風呂にはいれます。④形成外科的に縫合しますので、傷跡はほとんど二重の線に重なることが多いです。痛み:①麻酔注射を我慢するだけで、手術中はほとんど痛くありません。②手術後は鈍い痛み程度。③翌日以降はほとんど痛みはありません。腫れ:①翌日をピークに大きな腫れは2~3日。②手術後7日には半分くらい腫れがあります。③手術後30日には腫れは1割くらい。④ごく軽いむくみのような腫れが半年くらい出る方がいます。問題点:①なるべく左右が同じようになる様手術しますが、わずかな差が起きる場合があります。②LPSの力が弱い方は、手術できません。

費用等(自己負担額)

術式が余った皮膚の切除だけで済むものから、LPSの力をしっかり伝えるために挙筋腱膜から瞼板と皮膚に接続する伸びきったコンジョインドファスチア(conjoined fascia)を切除して目の開きを大きくする方法(いわゆる眼瞼挙筋前転法)があり、術式によって費用は変わります。